「コンポーネントの準備もできたし、リソースの使い方もわかった。でも、いざ遊ぼうとするとターンの流れが複雑で、どのタイミングで何をすればいいのか分からない……」
「ルールブックの『Sequence of Play(ターンの流れ)』のページを見ると、細かいステップが多すぎて、英語を追いかけるだけで疲れてしまう……」
そんな風に悩んでいませんか?
ボードゲームにおいて、ルールの骨組みである「ターンの流れ」を理解することは、最も重要でありながら、最も挫折しやすいポイントでもあります。特に『The Old King’s Crown(オールド・キングス・クラウン)』は、フェイズごとの細かな処理や、全員が同時に行うアクション(Simultaneous Steps)が多く、初見で完璧に回すのは至難の業です。
しかし、ご安心ください。本記事(第3回:実践編)では、このゲームの心臓部である「1年(ラウンド)の流れ」と、最も熱い心理戦が繰り広げられる「戦闘(Clash)」の解決手順を、日本語で徹底的に噛み砕いて解説します。
この記事を最後まで読めば、あなたはもう英語のサマリーカードを何度も見直す必要はなくなります。「次は春のフェイズだから手札を準備して…」「ここで裏向きに入札して、秋に一斉公開だ!」と、自信を持ってゲームを進行できるようになるでしょう。
ルールへの不安をなくし、対戦相手との極限の駆け引きと知略のぶつかり合いに100%没頭する、至高のボードゲーム体験があなたを待っています!
※本記事(および各詳細記事)は、以下の公式英語版ルールブック(PDF)を独自に翻訳・要約して作成しています。
The Old King’s Crown 公式ルールブック(英語版PDF)
いよいよ実践!1年(ラウンド)の流れとゲームの進行

『The Old King’s Crown』のゲーム進行は、非常に美しくテーマに沿った構成になっています。ゲームは複数の「ラウンド」に分かれており、この1ラウンドがゲーム内の「1年」に相当します。そして、1年はさらに「春」「夏」「秋」「冬」という四季(フェイズ)に分割されています。
ゲームの進行を司る「四季(フェイズ)」の基本ルール
各ラウンドは、必ず以下の順番で進行します。
- 春(Spring): 新たな年の幕開けです。手札の補充、王国カード(Kingdom Cards)を獲得するための「入札」、そしてマップへのカードの裏向き配置など、この1年の戦略の「仕込み」を行う最も重要な準備フェイズです。
- 夏(Summer): 各プレイヤーが自分の勢力特有のアクションを行ったり、カードの能力(Commands)を起動したりする、日中(Day Action Step)の活動が行われます。
- 秋(Autumn): 収穫と闘争の季節です。春・夏に仕込んだ裏向きのカードが一斉に公開され、各地域での「戦闘(Clash)」が解決されます。ここで勝利点となる「影響力(Influence)」の奪い合いが発生します。
- 冬(Winter): 1年の終わり、クリーンアップ(片付け)の季節です。盤面に残ったカードやコマを回収し、次の年を迎えるための整理を行います。
基本のゲーム(Standard Game)は、この四季のサイクルを「5年(5ラウンド)」繰り返して終了となります。
ターンの処理をスムーズにする「翻訳」と確認のコツ
英語のルールを読み解く上で、ぜひ覚えておいてほしい重要なキーワードがあります。それは「Simultaneous(同時処理)」と「In Turn Order(手番順)」です。
- Simultaneous(同時): ルールブックにこの記載があるステップ(例えば、カードを引く、カードを裏向きで配置するなど)は、プレイヤー全員が「せーの」で一斉に行います。これにより、ダウンタイム(待ち時間)が大幅に削減されます。
- In Turn Order(手番順): この記載があるステップ(アクションの実行など)は、オーダートラック(Order Track)で1位のプレイヤーから順番に、1人ずつ処理を行います。
プレイ中に「あれ、ここは順番にやるんだっけ?」と迷った際は、この2つのキーワードを思い出すようにしてください。
春・夏フェイズ:手札の準備と「入札」の心理戦
それでは、各ラウンドの前半戦となる「春」と「夏」のフェイズで行うことを、順を追って詳しく解説していきます。ここでのあなたの決断が、秋の戦闘結果を大きく左右します。
春(Spring):カードのドローと手札(デッキ)の準備
春の訪れとともに、まずは全員で手札の準備を行います。(※このステップはSimultaneous、つまり全員同時処理です)
- カードのドロー(Draw Cards): 各プレイヤーは、自分のデッキからカードを引き、手札上限(Hand Size)になるまで補充します。手札上限はプレイヤーボードのマーカーで示されており、ゲームの進行状況によって変動することがあります。
- デッキ切れ(Attrition / 消耗)のペナルティ: もしカードを引く際にデッキが空になっていた場合、捨て札をシャッフルして新たなデッキを作りますが、この時ペナルティとして「手札上限(Hand Size)が1枚減る」という厳しいルールがあります。無駄にカードを使いすぎないよう、リソース管理が求められます。(※第1ラウンドはこの処理をスキップします)
最初の駆け引き:王国カードをめぐる「入札(Bidding)」の処理
手札が整ったら、次に行うのが「王国カード(Kingdom Cards)」の獲得をめぐる入札(Bidding)です。 盤面の中央にある「グレートロード(The Great Road)」には、強力な能力や影響力をもたらす王国カードが表向きで並んでいます。これを取り合うのが最初の勝負です。
- 裏向きでの入札(Place Bids): 全員一斉に、手札からカードを1枚選び、自分の前に「裏向き」で伏せます。
- 一斉公開と解決(Resolve Bids): 全員が伏せ終わったら、一斉にカードを公開します。公開されたカードの「基本数値(Strength / 戦闘力)」が高いプレイヤーから順番に、場に出ている王国カードを1枚選んで獲得することができます。
- 同値の場合: もし数値が同じだった場合は、オーダートラックの順位が高いプレイヤーが優先されます。
- カードの補充: 入札が終わったら、空いたスペースに新しい王国カードを補充し、次のステップへ進みます。
ここで強いカード(数値の高いカード)を使って確実にお目当ての王国カードを狙うか、あるいは秋の戦闘に備えて強いカードは温存し、弱いカードで妥協するか。このジレンマがプレイヤーを悩ませます。
夏(Summer):ヘラルドの派遣と、裏向きでのカード配置
王国カードの処理が終わると、いよいよ盤面(マップ)上での陣取りに向けた配置が始まります。ここがこのゲームの醍醐味である「ブラフ(ハッタリ)」と「読み合い」のピークです。
- ヘラルドの派遣(Place Heralds): 手番順(In Turn Order)に、自分の「ヘラルド(Herald)」コマをマップ上のいずれかの「地域(Region)」または「力の拠点(Sites of Power)」に配置します。ヘラルドはあなたの勢力の代表であり、その地域での影響力を強めたり、拠点の能力を使うための条件となります。
- カードの裏向き配置(Place Cards Next to Regions): ここからが本番です!全員一斉(Simultaneous)に、手札からカードを伏せて、マップ上の3つの地域(Highlands、Plateau、Wilderness)の横に配置していきます。
- ポイント: どこに、どれだけ強いカードを置いているのかは相手には分かりません。本命の地域に最強のカードを置いているのか?それとも、そこは捨てて別の地域を狙っているのか?相手の顔色とヘラルドの配置から、思考を読み取らなければなりません。
- アクションステップ(Action Step / Placing Supporters): カードの配置後、手番順にアクションを行います。ここで重要なのが「サポーター(Supporters)」コマの配置です。アクションポイント(または特定の能力)を消費して、サポーターを地域に送り込むことができます。サポーターは後の戦闘において、あなたの戦力(Strength)を底上げしてくれる心強い味方となります。
春と夏(日中)のフェイズを通じて、マップ上には各プレイヤーのヘラルド、サポーター、そして正体不明の「裏向きのカード」が入り乱れることになります。嵐の前の静けさとも言えるこの緊張感の中で、いよいよ「秋フェイズ」へと突入します。
秋フェイズ:すべてが明かされる「戦闘(Clash)」の解決
夏フェイズの静かなる配置合戦が終わると、いよいよ盤面は「秋(Autumn)」を迎えます。マップ上の各地域(Region)に伏せられたカードが一斉に公開され、王国の覇権を賭けた直接的な「戦闘(Clash)」が勃発します。ブラフが成功して相手を出し抜いた時の快感は、このフェイズでしか味わえません。
戦闘(Clash)が発生する順番とマーカーの配置
マップ上には「Highlands(高地)」「Plateau(高原)」「Wilderness(荒野)」の3つの地域がありますが、これらすべてで同時に戦闘を行うわけではありません。
戦闘は、1つの地域ごとに順番に解決していきます(通常、I、II、IIIの数字が書かれたクラッシュマーカーを各地域に配置し、その順番に従って1箇所ずつ処理を進めます)。 これにより、「最初の地域で勝ったから、次の地域は少し力を抜くか」といった、連続する戦闘の中での戦略の切り替えが生まれます。
カードの公開と「戦闘力(Strength)」の計算ルール
解決する地域が決まったら、その地域に伏せられているすべてのカードを一斉に表向き(公開)にします。
ここで、各プレイヤーの「総戦闘力(Total Strength)」を計算します。戦闘力の計算式は以下の通りです。
- 基本戦闘力: 公開された勢力カード(Faction Card)の左上に書かれている数値(Strength)を足します。
- サポーターの支援: その地域に配置されている自分の「サポーター(Supporter)」コマ1つにつき、戦闘力が「+1」されます。
- 能力による修飾: カードの「効果(Effect)」や、発動させた特殊な能力によるプラス・マイナスの修正を加えます。
※ここで発生する劇的なドラマ(特殊コマンドの応酬) 単なる数字の足し算で終わらないのが『オールド・キングス・クラウン』です。カードが公開された直後、手番順に「コマンド(Command)」を使用する機会が与えられます。 例えば、相手が予想外に強いカードを出してきた場合、手札から追加でカードを伏せて参戦させる「奇襲(Ambush)」や、負けを悟ってカードを手札に戻す「撤退(Retreat)」、あるいは相手のカードを破壊する「致命傷(Deadly)」といった強力な効果が飛び交い、戦闘力が二転三転します。
勝者の決定と「影響力(Influence)」やボーナスの獲得
すべての効果処理が終わり、最終的な「総戦闘力」が最も高かったプレイヤーが、その地域での戦闘の「勝者」となります。
- 勝者の報酬: 戦闘に勝利すると、勝利点である「影響力(Influence / i)」トークンを獲得したり、その地域が持つ固有の報酬(Region Reward)を得ることができます。
- 同値(引き分け)の場合: もし戦闘力が同じだった場合は、追加で手札からカードを伏せて新たなミニ戦闘(再戦)を行うか、そのまま痛み分けとするかを選択するシビアな駆け引きが発生します。
秋のアクションステップ(Autumn Action Step)の処理
すべての地域での戦闘が終了すると、「秋のアクションステップ」に入ります。ここは、戦闘の傷を癒やし、将来のためのリソース(力)を蓄える非常に重要なステップです。
手番順に、以下の特別なアクションを行うことができます。
- 統治(Govern): 手札からカードを1枚選び、プレイヤーボードの「評議会(Council)」に配置します。これにより、ゲーム終了時のボーナス点や継続的な恩恵を得ることができます。
- 旅(Journey): これが最も重要です! 手札からカードを1枚選び、「ロストパイル(Lost Pile / 捨て札とは別のゲームからの除外置き場)」に送ることで、そのカードに描かれている「力(Power / p)」のアイコンの数だけ、力トークンを獲得します。
この「旅(Journey)」によって稼いだ「力(Power)」を使って、拠点(Sites of Power)から強力なアドバンスドカードやHQカードを購入し、デッキを強化していくのが勝利への鉄則です。手札を1枚犠牲にする痛みを伴いますが、次代の王となるための必要な投資と考えましょう。
冬フェイズ:盤面の整理と次ラウンドへの準備
激動の秋が終わり、「冬(Winter)」が到来します。冬はクリーンアップ(盤面の片付けと整理)のフェイズであり、プレイヤー同士が争うステップはありません。
冬(Winter):カードの回収とクリーンアップ
全員が同時に以下の処理を行い、盤面をリセットします。
- コマの回収: マップ上に派遣していた「ヘラルド(Herald)」を自分のプレイヤーボードに戻します。また、戦闘に参加した「サポーター(Supporter)」はすべてロストパイル(一時的な除外)に送られます。
- カードの処理: 盤面に残っているカードのうち、上に「影響力(i)」トークンが乗っていないカードはすべて自分の捨て札(Discard Pile)に送られます。
- ※一部の強力なカードは、影響力トークンを乗せることで盤面に「滞在(維持)」させることができます。その場合、毎冬ごとにトークンを1つずつ取り除くことで、捨て札に行かずに盤面に留まり続けます。
ゲームの終了条件(エンドトリガー)と最終勝利点の計算
ラウンドマーカーを次のスペースに進め、新しい年(ラウンド)の春フェイズへと戻ります。
基本ゲーム(Standard Game)では、これを「5ラウンド(5年)」繰り返すとゲーム終了となります。
5ラウンド目の冬フェイズが終了した時点で、各プレイヤーは自分の手元にある「影響力(Influence / i)」トークンの総数を数えます(拠点カードや評議会によるボーナス点もすべて合算します)。 最も多くの影響力を持っていたプレイヤーが、王国の正当なる後継者として王冠を手にし、ゲームの勝者となります!
まとめと最終回(資料編)へのリンク
お疲れ様でした!第3回までお読みいただき、ありがとうございます。 「四季」を通じたターンの流れ、裏向きの入札がもたらす緊張感、そして戦闘でのドラマティックな展開。文字で読むだけでも、『The Old King’s Crown』がいかに濃密でエキサイティングなゲーム体験を提供してくれるかがお分かりいただけたのではないでしょうか。
ルールの全体像を掴んだら、最後に「第4回:資料編」へ
ここまでの内容で、ゲームの進行そのものは完全に理解できたはずです。 しかし、実際にプレイを始めると「Ambushって具体的にどう処理するんだっけ?」「このカードのTrait(キーワード)はどういう意味?」と、細かいテキストの翻訳で手が止まる場面が必ず出てきます。
そこで最終回となる第4回では、プレイ中に「辞書代わり」として手元に置いて使えるキーワードの和訳リストや、よくある質問(FAQ)、そして1人でも遊べるソロモードのルールをまとめました。 ぜひこの記事をブックマークして、実際のプレイ中に活用してください!
全4回の日本語解説ガイド一覧
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